Hi-Fiシステムには何が必要?
Hi-Fiシステムには、音源機器、音量を調整する手段、スピーカーまたはヘッドホン、そしてそれらに適した増幅機能が必要です。デジタル音源やレコードには、適切な変換やフォノ信号の処理も必要です。これは必要な機能の話で、そろえる機器の台数を決めるものではありません。パソコン、プリメインアンプ、パワードスピーカーシステムなどが、すでに複数の機能を兼ねている場合があります。
まずシステムに必要な役割を考える
音楽ファイルをスピーカーで再生する場面を想像してください。ファイルを読み取る機能、デジタル音声をアナログ信号に変える機能、聴くときの音量を決める制御機能、そしてスピーカーから音を出すための電気出力を供給する増幅機能が働きます。これらの役割のいくつかを、同じ機器の中で担うこともあります。
この順序に沿った信号の経路を、と呼びます。音楽の出発点から、スピーカーやヘッドホンに届くまでをたどってみましょう。
- 音源機器:ファイル、光ディスク、レコードなどから音楽信号を供給します。再生に使う機器と、使用する出力を確認しましょう。
- デジタルからアナログへの変換(必要な場合):再生機器の電子回路で、デジタル音声をアナログ信号に変換します。選んだデジタル信号経路のどこに、内蔵の変換回路や単体DACがあるかを確認しましょう。
- フォノ信号の処理(必要な場合):レコード用カートリッジの信号を、ライン入力に適した信号に整えます。レコードプレーヤー、アンプ、または単体機器の中に、適切なフォノプリアンプがあるかを確認しましょう。
- 音源の選択と音量調整:何を再生するかを選び、聴くための信号レベルを設定します。音源機器、プリアンプ、プリメインアンプ、パワードシステムのどこで操作するかを確認しましょう。
- 電力増幅またはヘッドホン用の増幅:使用するスピーカーやヘッドホンに電気出力を供給します。スピーカー用のパワーアンプ、または適切なヘッドホン出力がどこにあるかを確認しましょう。
- スピーカーまたはヘッドホン:電気信号を音に変えます。最後に耳で聴くための出力を担います。
Yamahaのシステム概要では、音源機器、アンプ、スピーカーの役割が説明されています。Audioengineのコンポーネントガイドでは、制御段と電力増幅段が説明されています。機能ごとに必ず別の機器を買うという決まりを設けるより、こうした役割を理解するほうが役に立ちます。
必要な機能がそろう三つの経路と、機能のまとめ方
以下は簡略化した例で、すべての機器に共通する配線手順ではありません。矢印は音声信号が進む方向を示し、角括弧は機器やシステムの内部にまとめられた機能を示します。電源供給は、これらの音声経路とは別です。各接続では、出力と入力が適合している必要があります。
1. パソコンとパワードスピーカー
デジタル音楽 → [パソコン:再生 → DAC → 音量調整可能なアナログ出力] → アナログ音声ケーブル → [パワードスピーカーシステム:入力/音量 → 電力増幅 → スピーカーユニット]
これは、アナログ入力を使う例です。スピーカーユニットは、スピーカーの中で音を出す部分です。パソコンがアナログ信号を供給し、スピーカーシステムにはスピーカーを駆動する電力増幅機能が内蔵されています。各機器に必要な電源も別途接続します。音声ケーブルは、商用電源への接続を表しているわけではありません。
機器内での変換については、Appleのアナログ出力に関する案内に記載されています。アナログ入力、音量調整、内蔵アンプを備えたスピーカーペアについては、Audioengineのセットアップガイドに記載されています。この二つの資料で必要な機能を具体的に確認できますが、実際に組み合わせる機器同士の適合性は、別途確認が必要です。
パワードシステムの左右のキャビネットをどう接続するかは、製品によって異なります。資料の例では、片方のキャビネットにアンプがあり、もう片方へスピーカーケーブルで出力します。すべてのペアがこの方式だと考えたり、「パワード」であればアクティブクロスオーバーを使っていると考えたりしないでください。この違いは、アクティブ、パワード、パッシブスピーカーの解説で説明しています。
2. 音源機器、アンプの各段、パッシブスピーカー
[アナログのライン出力を持つ音源機器] → ラインレベル → [制御用プリアンプ] → ラインレベル → [パワーアンプ] → スピーカーケーブル → [パッシブスピーカー]
「ラインレベル」は、これらの電子機器の間で受け渡すアナログ信号のレベルを表します。スピーカーケーブルは、パワーアンプの出力を伝えます。制御用プリアンプが音源の選択と聴くときの音量を担い、パワーアンプがパッシブスピーカーを駆動します。
プリメインアンプは、中央の二つの機器をまとめたものです。
[プリメインアンプ:音源選択/音量 → スピーカー用の電力増幅]
そのため、最初の図で役割を別々に示しているからといって、制御用プリアンプとパワーアンプを個別に用意する必要はありません。また、別々の機器に分かれているだけで音がよくなると判断することもできません。各機器に実際に含まれる機能は、アンプの役割の比較で確認しましょう。
この経路はアナログ音声から始まります。音源機器との接続でデジタル音声を伝える場合は、受け側の機器、またはアナログ段より前に置く単体コンバーターで、対応する変換を行う必要があります。その経路が使えるかどうかは、入力の表示と取扱説明書で確認できます。
3. 音源機器と有線ヘッドホン
デジタル音楽 → [音源機器:再生 → 変換 → 音量/ヘッドホン出力] → ヘッドホンケーブル → [有線アナログヘッドホン]
適切な音源機器のヘッドホン出力であれば、必要な変換と駆動の機能がすでに備わっている場合があります。Appleのヘッドホン出力に関する資料は、そうした一体化の具体例です。ただし、どの音源機器でもすべてのヘッドホンを十分に駆動できることを示すものではありません。
選んだ音源機器や接続で必要になる場合は、外付けDACとヘッドホンアンプでこれらの機能を補う方法もあります。ヘッドホンで聴くすべての人が追加購入すべき機器ではありません。判断には、「ヘッドホンにアンプは必要か」と「外付けDACが必要になる場合」を参照してください。
レコード再生に合った経路を加える
レコードプレーヤーでは、専用の信号処理が必要になります。カートリッジの信号を通常のライン入力へ送るには、その前に適切なフォノプリアンプを通します。この段は、レコードプレーヤーやアンプにすでに内蔵されている場合があります。
カートリッジ → 適切なフォノプリアンプ → ラインレベルの信号 → 制御と電力増幅 → スピーカー
出力を切り替えられるレコードプレーヤーでは、内蔵のフォノプリアンプを通さないPHONO出力と、その段を通したLINE出力を選べる場合があります。Audio-Technicaのプリアンプ切替スイッチの説明(5ページ)には、この二つの選択肢が記載されています。選んだ経路を受け側の入力に合わせ、カートリッジもフォノプリアンプに適合させましょう。
内蔵のフォノプリアンプは、スピーカー用パワーアンプではありません。そのため、レコードプレーヤーのLINE出力だけでは、パッシブスピーカーのシステムは完成しません。残りの信号経路もたどり、詳しい違いはフォノとラインの比較で確認してください。
機器を追加する前に、不足しているものを確認する
三つの経路のいずれかを出発点にして、それぞれの役割を実際にどの機器が担うかを書き込んでみましょう。
- 音楽:どの音源機器の、どの出力から供給しますか。
- 処理:この経路のどこで、デジタル信号の変換やフォノ信号の処理を行いますか。
- 制御:聴くときの音量は、どの操作部で変えますか。
- 駆動:スピーカー用の電力増幅やヘッドホンの駆動は、どこが担いますか。
- 接続:それぞれの出力は、その信号を受けられるように設計された入力につながっていますか。
必要な機能と接続がすべてそろっていれば、図に機器を追加する必要はありません。答えが埋まらない項目は、調べるべき点を示しています。まだ、購入が必要だと決まったわけではありません。まず何をどこにつなぐかを確認し、完成した図をもとに、初めてのシステムの計画を立てましょう。
出典
- Hi-Fi Starter Guide — source, amplification and speaker roles — Yamaha
- Control preamp, integrated amplifier and power-amplifier functions — Audioengine
- Powered-speaker analog inputs and companion wiring — Audioengine
- Built-in digital-to-analog conversion and analog output — Apple
- Integrated headphone-output capability — Apple
- Turntable PHONO/LINE selector — manual, page 5 — Audio-Technica
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